保険医協会の主張

 

診療・介護報酬改定は大幅引き上げを               2012年1月号掲載 

 2012 年度の診療報酬と介護報酬の同時改定について、12月21日に、厚労相と財務相は 「引き上げで合意」したと報道されました。しかし、これは、「見かけ上の引き上げ」であり、いずれも実質引き下げとなる厳しいものです。
  診療報酬の改定率については、薬価・材料価格を1.375%引き下げる一方、診療報酬本体を1.379%引き上げ(医科+1.55%、歯科+1.70%、調剤+0.46%)、総枠で0.004%増の改定率と伝えられますが、長期収載医薬品について、薬価改定幅とは別に10%程度(総枠でマイナス0.59%)引き下げられる予定で、合わせるとマイナス0.586%と、事実上の診療報酬引き下げとなります。
  また、介護報酬改定率について、1.2%の引き上げとされますが、介護職員処遇改善交付金について、全額国庫負担による負担は中止し介護報酬の中で評価することにしました。そのため、本来2%程度の介護報酬引き上げが必要であったにも関わらず1.2%の引き上げにとどまり、実質マイナス改定になりました。
 保団連以外にも、日医・日歯など医療関連40 団体で組織する国民医療推進協議会など、多くの医療団体、医療従事者から、「医療崩壊を阻止するためには、診療報酬引き上げが必要」とされたにも関わらず、実質引き下げになったことについて、厳重に抗議の意思を明らかにするものです。
  この間、医療崩壊を防ぐために、大病院を中心に診療報酬上で一定の改善が図られる一方、医科・歯科診療所や有床診療所や中小病院においては、実質的に5回連続の引き下げであり、第一線の地域医療の崩壊につながる可能性もあり、診療報酬の再考を強く求めるものです。
 また、介護報酬については、保険料の引き上げ、訪問介護や訪問介護に短時間サービスを導入し細切れサービス中心に誘導、要支援の利用者のサービスは自治体で対応する制度の導入など、高負担・低サービスによる保険利用の制限など、多くの問題点が指摘されています。
  安心して医療・介護が受けられる制度の実現を目指し、国庫負担を増やし、診療報酬・介護報酬の大幅引き上げを求めるものです。

 

保険医休業保障共済制度再建に向けて           2011年12月号掲載


 全国保険医団体連合会は、開業医が傷病で休業せざるを得なくなったとき生活を保障し、開業医が地域医療に安心して貢献できるよう1970年全国4協会で休業保障制度を発足しました。
香川県保険医協会は、1982年保険医協会が発足すると同時に保険医休業保障共済制度に加入し、現在まで開業医の休業に対して保障して大きな貢献をしてきました。しかし、2005年4月改正保険業法が決定、翌年施行され「新規・増口加入停止」に追い込まれ新規加入運営ができなくなり今日に至っています。
この間、全国の自主共済制度を持っている組織と共同して政府、金融庁と闘い、交渉折衝を重ねてきて2011年11月、一部見直しで再開の見通しが出てきました。今後金融庁と最終のつめを行い認可を受け、来年の第44回保団連定期大会に提案し、決定する予定です。これにより休業保障募集再開ができ、保険医協会発展の可能性が出てきます。
しかし今年政府はTPPに参加すると表明しました。TPPに参加すると、特定の人に対する(自主)共済制度が廃止され、不特定の人に対する保険業になって保団医協会に加入している医師に対しての休業保障共済制度が運営できないことになります。共済だけでなく、医療に対しても混合診療が持ち込まれ、金の切れ目が命の切れ目となり、国民の健康が守れません。
また国民皆保険が崩壊し、アメリカのように民間医療保険(内容に松竹梅の差あり)に加入していなければ高額の自己負担になり適切な医療にかかれなくなります。このように休業保障共済制度を守るためにもTPP参加には断固反対し、国民の健康を守り保険医の生活を守っていきましょう。

 

親しまれる会報づくりに努力              2011年11月号掲載

 香川協会は、協会活動について毎月一回会報を発行して会員にお届けしています。会員に読まれる会報づくりをめざして毎回編集会議を開いています。新年号、夏季特集号は、カラー印刷で会員投稿を主にした会報の発行で明るい、楽しい紙面づくりを心がけています。
先日、全国の協会が集まって「全国機関紙誌交流会」が開かれました。読んでもらえる新聞づくりについて各協会の意見を聴くことができました。各協会では、会員が知りたいテーマを設けているか、広報部の情報収集機能をどのような方法で行なうか、天災・人災時に機関紙を代理編集・発行・発送することのできる協会があるか等でした。各協会の悩みは、執筆者不足、一般会員からの投稿が少ない、協会の考え方を示す「主張」での主義主張の統一が難しいなどの共通の悩みがあります。
今の政治の流れは、社会保障費、特に医療費抑制政策を進めています。そのために毎回受診時に一定額の負担金を払うなども計画されています。患者負担額増と受診回数を減らすことで医療費を抑制しようとしています。このような国の政策論とその解説は、保団連が発行する「全国保険医新聞」、「月刊保団連」に詳しく載っています。香川協会の「香川県保険医協会会報」は、保団連の活動方針に沿った活動を載せています。同封で送っていますのでお読み下さい。
広報編集部は、会員に親しまれて読まれる会報づくりをめざしています。会報は、香川協会の「顔」として、「会員の広場」としてご愛読されるように努めています。保団連発行紙誌と合わせてお読み下さい。国民のための医療改善に向けた運動をめざすことが医療人として国民に認められると思います。

 

 

お金に心配がない 保険でよい歯科医療を        2011年10月号掲載

全国の保険医協会は、街頭や集会、シンポジウムなどの参加者や医科・歯科診療所の受診患者の協力を得て、2010年10月から12月にかけて、「歯科医療に関する市民アンケート」を実施しました。全国1万129人の市民から回答を得た調査結果は、マスコミ各紙で報じられました。アンケートの特徴は「歯は、健康にとって大切」と、考えている人が全体の9割以上いる一方、「治療を放置している」人が4割近くに達しています。その主な理由は、「時間がない」「費用が心配」等です。窓口負担が高いと答える人が5割を超え、特に10代から60代では6割近くに登ります。早期発見早期治療で重傷化して歯を喪失する前に治療が行えるよう、窓口負担の軽減が必要です。保険のきかない治療に対しては、全体で91.6%が「保険のきく範囲を広げて欲しい」と回答しています。また、保団連が昨年行った1万の医療機関から回答を得た調査では医科診療所と比べて、歯科が経済的理由による治療中断、中止が多いことがわかりました。公称2.09%の引き上げとされた昨年の歯科診療報酬の改定は、多くの歯科医療機関でプラス改訂の実感が無く、歯科医療機関の経営危機が進行しています。とりわけ深刻な患者の受診抑制は今回の東日本大震災の影響でいっそう強まりを見せ深刻な状況が続いています。このため、保団連は歯科医療の危機を打開し保険で良い歯科医療の実現を目指す全国的な運動の最重要課題として、「保険で良い歯科医療を」全国連絡会・全日本民主医療機関連合会・日本医療福祉生活協組合連合会・技工士の方々等とともに50万筆を目標に「お金の心配がない『保険で良い歯科医療』の実現を求める」国会請願署名に取り組んでいます。請願項目は、「窓口負担を大幅に軽減して下さい。」「保険のきく範囲を広げて下さい。」です。歯科医療危機打開のために、歯科会員はもちろん、医科会員の先生の御協力を得ながらこの運動を積極的に展開していきたいと考えています。御協力よろしくお願いします。市民からも「保険でよい歯科医療を。こんな当たり前のことが当たり前になっていない現実が今の政治情勢です。親の経済的状況の悪化で、子供の貧窮が進んでいます。子供達の未来は日本の未来です。お金の心配なく学んだり、病気を治したりできる国にしていくために運動を強めていくことが重要です。」という切実な声があがっています。

 

今秋の医療改善運動に向けて
「一体改革」に反対する
                  2011年9月20号掲載

 政府は、「社会保障・税の一体改革」を進めていますが、この改革は国民に財源の負担を強いるもので、消費税増税と社会保障の給付抑制・削減・市場化拡大を狙っています。税の改革では、復興増税に加えて2010年代半ばまでに消費税率を10%以上に引き上げる一方、大企業に対しては、法人実効税率を引き下げる方針です。社会保障の改革は、消費税収の範囲に社会保障を押さえ込んで公的給付を限定し、公的給付から外れた分野で新たな市場創出を目指す方針を掲げています。
先日、野田新政権が誕生しましたが、菅政権が打ち出した「一体改革」を進めるものと予想されます。この方針について保団連は、国民の安心と生活を破壊し、内需を冷え込ませ、「経済も財政も悪化させる危険な道だ」と指摘しています。国民のための医療改善を目指す保団連・協会の今秋の活動は、「安心して受けられる医療の実現」、「国民医療の向上」に向けた請願署名(患者署名)、会員署名に取り組みます。請願署名項目は、「新たな患者負担増計画の撤回」、「患者窓口負担の大幅軽減」、「消費税の増税をおこなわないこと」の3項目です。
8月末に開かれた保団連四国ブロック協議会では、高知市・日曜市で出席者全員で街頭宣伝・署名活動を行いましたが、買い物客の関心も強く、足を止めて署名活動に協力していただきました。「医療改悪ストップ」の横断幕・幟を先頭に行う街頭宣伝・署名活動は、「国民と共に医療改善を進める」保団連・協会の原点の活動です。
国民生活破壊への道を進める「一体改革」に反対するために今秋から年末にかけて請願署名、会員署名に取り組みます。野田新政権に大きな影響が出ることを期待して行います。

 

 

 

東日本大震災と地域医療                     2011年5月号掲載

 東日本大震災発生から3カ月が経過しようとしていますが、被災者への本格的な支援は始まったばかりで、早急な対応が望まれます。
 医療機関の被害も甚大です。毎日新聞の調査(4/16)によると、沿岸部では、宮城県で、36病院中4病院が休診、約320ある診療所の2割強が休診。岩手県では、15病院中2病院が休診、120診療所中約40診療所が休診。福島県では、16病院中診療休止は8病院となっています。
 また、地域医療を担う開業医が被災したため、高度な救急医療を担う病院に患者が殺到する事態になっていると伝えられます。
東北地方は元々医師数が少ない地域でしたが、2007年の「公立病院改革ガイドライン」により公立病院が縮小され、状況を悪化させています(岩手県では4年間で400床以上減)。
今回の震災で多くの医療人が医療支援に駆けつけ、当初は重要な役割を果たしましたが、避難が長期化するにつれ地域に根差した医療を行っている開業医の役割が重要になりました。
復興の取り組みが進んでいきますが、安全・安心のまちづくりに医療機関の整備は急務です。公的な病院に医師を確保する課題もありますが、地域の第一線医療を担う開業医への支援も必要です。
 沿岸部の医療機関は、建物そのものが津波で流されたところもたくさんあります。診療スペースは確保できても、医療器械や器具が全くなく、まさに一から始めなければなりません。開業医の平均年齢は60才弱といわれていますが、農村部では開業医も高齢化が進んでおり、建物を再建し医療器械の新規購入を行うには億単位の資金が必要で、自力で行うのは困難です。
 阪神・淡路大震災時の公的な支援策は民間病院の救急部門に限定されており、今回の参考にはなりません。また、医療施設近代化施設整備事業は限定的な仕組みです。
地域医療を再建するために医療機関を支援する公的な制度を作らなければ、地域医療の崩壊はさらに進行します。従来の枠組みを超えた支援策を強く望むものです。

 

 

署名運動を行ないます                     2011年2月号掲載

 保団連・協会は、今年も患者請願署名運動を進めています。集まった署名は、地区選出の国会議員に手渡すことにしています。署名数が多ければ、関心を持って議員に話を聞いてもらえます。皆さんは、「署名してもどれだけ効果があるの」と思うかもしれません。住民の生活を考える真摯な議員であれば、署名数が多いと身を乗り出してくるのが人情です。無視はできないのです。署名は、みんなの声でもあります。今回の署名の項目で、最初は「患者窓口負担の大幅軽減を」です。昨年6月に行なわれた保団連の調査では、4割の医療機関が、経済的理由による治療の中断・中止を経験したとのことです。次に「高すぎる国保保険料を引き下げてください」です。世帯所得年200万円、子ども2人、4人家族の家庭の国保料は、50万円になる所もあります。これでは、日常生活がやっとで慢性の疾患の治療を受けることは困難です。
今回の署名項目は、患者さん、住民にお願いすれば、大勢の人が請願項目に賛成してもらえると思います。私たち医療関係者のためにではなく、患者さんのためにも運動を行なっていることを理解してもらい、「安心の医療」をつくるために医療機関の職員が一つになって運動することが、患者の信頼を得ることと思います。私のことで恐縮ですが、私は、毎回署名運動に参加しています。一時は、千筆を越えるほど集めたこともありました。最初の頃は、詳しく要請項目を説明していましたが、最近は、署名のお願いをするだけで署名して貰えます。職員も一緒に協力していただいています。「署名について患者さんがどう思うか分からない」からと、署名運動を行なっていない方は、「医療改善のために」運動することを患者さんに訴えてください。必ず分かってもらえると思います。今回の署名運動に一層のご協力をお願いします

 

休業共済事業復活で保険医協会の新たな前進を       2010年12月号掲載

 2005年、保険業法改定で保団連の休業自主共済継続が困難となっていた事業を特例として認める保険業法改正案が、11月4日衆院本会議、11月12日参議院本会議において全会一致で可決されました。
今回の改正案は、2005年以前から活動していた事業が対象ですこれにより、法人格を有する等の条件を満たせば、「認定特定保険業者」として新規募集が可能となります。
保険業法改定に対して「共済の今日と未来を考える懇談会」を結成し、適用除外を求める様々な運動を行い、全政党を対象にした国会対策、自治体意見書採択、公益法人を含む諸団体との共同行動等を取り組みました。休業保障再開までには解決しなければならない課題がありますが、一度成立した法律を衆参両院で全会一致再改定させたことは、画期的なものでした。
これらの成果は、全国の保険医協会会員の先生方、各県協会の役員、保団連役員の方々のあくまで自分達の権利である自主共済を守ろうとする粘り強い運動と団結で達成したものです。この運動の成果に自信を持ち今後とも会員の生活を守り、国民の健康を守る活動をしていくことが大切です。
しかし、今回の法改正は、適用除外そのものでなく、5年後には再度法律の検討をすることになっており、今後とも自主共済規制に反対する運動を各諸団体と協力していく事が大切です。
法人化することなど解決しなければならない問題があるが、現在まで長い間培ってきた自主共済の精神を生かした共済制度にすることです。

 

海外歯科技工問題 国内で安全・良質な歯科技工物を      2010年11月号掲載

入れ歯や冠せ物、歯科医療技工物は咀嚼機能の回復、維持の為の人工臓器として長期に亘って口の中に装着されるものです。我が国では、保険診療、自費診療の如何にかかわらず、歯科医療技工物は薬事法で許可された材料を使用し、歯科技工士法に基づいて、歯科医師や国家資格を持つ歯科技工士が基準を満たした施設で作成するなど安全性及び質の確保が計られています。しかし、厚労省は海外技工については、自費診療に限定されていますが、材料が制作者の資格、施設基準を問うことなく05年9月8日付[国外で作成された補綴物の取り扱いについて]の通知を出して「患者に適切に説明した上で、歯科医師の素養に基づく高度かつ専門的な判断により適切に実施されることが原則である。」と海外技工問題の責任を委託歯科医師に押しつけています。海外技工物は、医療機器ではなく玩具やティッシュペーパーと同じ単なる雑貨物扱いとして法律上の制約も行政上のチェックも無いままに事実上容認しています。]10年2月TBS系テレビは、中国の技工所に委託した技工物から、我が国では、使用を禁止されたベリリウムが検出されたと放映しました。視聴者の多くが国外で作成された歯科技工物(海外技工)はもとより我が国の歯科技工物の安全性の確保にまで不安を持たれたと思います。テレビ放映を契機に国会でも取り上げられ、多くの国会議員へ理解と支持を広げる活動が進められています。
中国製食品、玩具、歯ブラシなどの安全性が国内外で問題になっており、歯科医療の分野でも安価である事を売り物にした海外技工が広がっています。厚労省の低医療費政策、歯科排除政策が進み歯科医療は著しく不採算になり、人件費が格段に安い海外の技工所に発注することになりかねません。七割の歯科医師は歯科技工士を雇用しておらず、八割が技工所に委託しております。歯科医師の6.5%が海外に委託した経験があり、05年以降増加しています。また、09年歯科技工士80人が、歯科技工物の海外委託をめぐり、提起していた訴訟は東京高裁で「控訴廃却」の敗訴となりました。一審に続く連敗で先行は厳しいですが、最高裁をかけた最後の可能性に支援を強めることが大切です。そして「平成17年通知」並びに「平成22年通知」を早急に撤回し、海外技工を委託しなくとも国内で必要な歯科技工物を確保できるようにして、歯科技工物の質と安全性を確保するため「トレーサビリティー(生産履歴管理システム)の基準確立」施策だけにとどまらず、海外技工物も国内技工物同様、歯科技工士法、薬事法に準じた取り扱いにするなどの措置を講ずる事が必要です。

 

入院患者受診制限の解決を              2010年10月号掲載

 8月29日に、保団連主催の「入院中の患者さんの他医療機関受診の規制の撤回を求める決起集会」が、東京都内で開催されました。京都府保険医協会の報告によれば、近畿の二府四県の病床の半数以上が精神病床の130病院を対象にした調査で、他院受診が必要なケースが、「よくある」 「ある」と回答した病院が93%に上っていることが明らかとなりました。
入院中の患者で他院受診が必要な事例や実態が全国から報告され、「入院中の患者の他院受診制限は、患者さんの命を脅かす政策で一日も早く改善を」との声が寄せられました。
4月改定までは、入院中の患者が他医療機関を受診する際、一般病床の場合には特に制限はなく、療養病床等の診療行為が包括された内容と同一行為が他院でなされた場合にのみ制限がありました。
 ところが、4月から突然、投薬は入院医療機関で行うことになり、入院料も療養病床等の場合30%から70%減額されることになり、医療現場に大きな混乱を巻き起こしました。
骨折で整形外科に入院中に、糖尿病の治療のために他院の内科医の診療が必要になったり、内科入院中に関節痛で他院の整形外科を受診することはよくあるケースです。これが制限されるなら、入院患者に必要な医療が提供できなくなり、場合によっては命に関わる場合もあります。
この問題は国会でも取り上げられ、6月4日通知で「一般病床に限り」他院での投薬が可能になりました。その後、6月29日の政府答弁で、療養病床等の場合でも「専門的な投薬は他院で行う」ことが可能になりましたが、「投薬の費用は入院側と合議で処理」することになり、本質的な問題解決には至っていません。また、入院側の入院料の減額も撤回されていません。
厚労省は他疾病の治療は「転院・対診」が原則といいますが、現実的には転医する必要がない場合が多く、他院を訪問して診察するのは現実的には困難です。
 まず、3月末までの状態にいったん戻し、療養病床等の取り扱いも、必要な医療が確実に提供できるように変更すべきです。

 

浜田新知事にのぞむ                                             2010年9月号掲載


 8月29日、任期満了に伴う香川県知事選が行なわれ、元財務官僚の浜田恵造氏が初当選しました。松原氏は「命と暮らしを守る」、渡辺氏は「行政のムダ追及」、浜田氏は「地域経済活性化」を住民に訴えました。大きな争点もなく、県議会の自民、社民系、民主、公明の各会派が相乗りの浜田氏が当選しました。今回の投票率は前回と同じく36・92%の低さでした。知事選は、私たちの生活に関係することが多いので、県民の意見を投票用紙に託す気持で、多くの選挙民が投票して欲しいと思います。
 新知事は、選挙戦を通じて「元気の出る、安心できる香川づくり」を強調しました。新知事に注目して欲しいことは、香川県は少子高齢化が進んでいます。四国新聞社が行なった新知事に期待するアンケート調査では、「福祉・医療」の充実を挙げています。私たち医療従事者は、地域の中で地域の人たちを診療していますが、高齢者夫婦は、老老介護を余儀なくされています。介護に限界がきて、特養ホームに入所しようと思っても空きがないのが現実です。
 最近、県立中央病院の新築移転が予定されています。環境の面からも交通の面からも理想の場所と言えるかどうか、もう一度、ご検討をお願いしたい。新知事の主張する「安心できる香川づくり」は、医療を含めた福祉行政の充実が必要です。その中でも少子化対策の充実が求められます。香川県は、人口減少対策「子供を産み育てやすい環境づくり」を進めています。子育て家庭の経済的負担の軽減も含まれています。
 私たちの協会活動では、予防ワクチン接種(肺炎球菌、ヒブワクチン、子宮頚ガン等)費用の無料化や補助を、国や県、各自治体に求めています。本年7月に各候補予定者に予防接種、乳幼児医療費無料化制度についてのアンケート調査でご意見をお聞きしましたが、皆さん賛同されています。新知事にのぞむことは、景気・雇用対策と共に県下の福祉医療政策に力を注いでください。お願いいたします。

 

 

参議院選挙が終った                              2010年8月号掲載 

 7月11日に行なわれた参議院選挙で民主党は議席を減らすことになった。政権交代後初の国政選挙であったが、菅首相の「消費税増税」演説で票を減らす原因になったとマスコミは論じている。また、普天間基地移設問題についても国民に失望をもたらした。今後の民主党政権の国会運営は困難が予想される。
少子高齢化社会の波が襲ってきている。過疎地域では働く所もなく、生活できないために住民も離れている。高齢者は行き場を失って生きている。社会保障制度の充実が求められるが今のところ大きな計画もない。財源をどこから求めるかが問題であるが、民主党も自民党も消費税増税に求めているようだ。単純な考えであるが、豊かな生活をしていない国民に負担を求めるのではなく、大企業に求めてはどうだろうか。毎日新聞(7月23日)に掲載された本田宏氏(済生会栗橋病院副院長)の私の社会保障論「医療を日本の一大産業に」を注目したい。避けて通れない超高齢化社会に対応するために社会保障対策が重要になってくる。
先日、厚生労働省は、75歳以上を対象とした「後期高齢者医療制度」に代わる新たな高齢者医療制度の中間とりまとめ案を示した。今の制度は12年度末で廃止し、13年度から新制度が発足の予定である。「後期高齢者医療制度」は、保団連・協会が「即時廃止」を求めてきたものであるが、報道内容では、75歳以上の人は新制度では、会社員とその被扶養者は企業の健康保険組合など被用者保険に加入する、自営業や無職の人は、市町村の国保に入るとのことであるが、制度が変わっても保険料などにはあまり変わらないように思われる。来年の通常国会に提出される予定で、改善点を指摘する活動がより必要になってくる。

 

第29回総会を終えて                          2010年7月号掲載

 さる6月20日、香川県保険医協会第29回総会が開かれました。 第一部に総会、昨年の活動は例年どおりでしたが、休業保障制度は現状で新たな募集が出来ず会員拡大も停滞し、協会活動にも影響を受けました。第二部は、日野秀逸先生を招いて「過渡期の医療政策はー民主党の医療政策はいかなるものか」と題して記念講演がありました。 昨年の総選挙で自民・公明党政権が倒れ国民、保険医協会の期待を担って民主党・社民党・国民新党の連立政権が誕生しました。 しかしながら民主党選挙のマニフェストに後期高齢者医療制度廃止、保険医協会も廃止を主張していたにもかかわらず廃止せず、その上消費税を10%、今の二倍にすることをたくらみ、マニフェストと異なった政策運営で国民の期待を裏切り、落胆と信頼できなく参議院選挙で与党過半数割れになりました。 今でも医療機関は最終消費者として消費税がかかってきているので10%になると医療機関の経営は多くのところで成り立たず倒産が増え国民の健康を守ることが出来なく医療崩壊が一層すすみます。このような状況の中では保険医協会の役割がますます大きくなってきています。 政府に0%消費税の実現、会員のため健全に行なっている休業保障制度を復活させる運動を会員とともに取り組むことが大切です。保険医協会独自の活動として、保険医の経営と権利を守ること、保険医協会しか出来ない医科・歯科合同の研究会、講演会を旺盛に取り組むことです。また国民医療の向上を目指すためにも、高齢者、子どもへの医療費自己負担の軽減、各種ワクチンに対する助成を促進するために取り組む運動をします。 いのちを守る医師として日本国憲法の理念にもとづき生存権や人権、平和を守る運動も保険医協会の活動です。

 

今次歯科診療報酬改定の問題点と歯科医療の今後                                     2010年5月号掲載

 今次歯科診療改定は歯科医療関係者と患者、国民の「保険で良い歯科医療」を求める22万筆を超える請願署名、全国の自治体の4分の1の地方議会意見書採択などの運動を反映して、歯科診療本体は、2.09パーセントの引き上げとなった。

改定内容では、基本診療料に財源の多くが配分され、歯周治療、麻酔、有床義歯などの基本技術料がそれぞれをわずかずつ引き上げられた。また歯科医療関係者の中でも、とりわけ労働環境が厳しい歯科技工士の労働に対してきわめて限定的であるが初めて評価がなされた。しかしその歯科技工士を雇用できる歯科医療機関は全体の1割程度に過ぎず、歯科技工所と連携を行っている医療機関に対する評価へ拡大するべきである。初診料、再診料が引き上げられたが、この財源確保のため、患者の口腔内、咬合状態の記録、診断に必要なスタディモデルが包括化され、歯科疾患管理料が引き下げられた。見かけ上の点数ひき上げのため治療行為にかかわる技術と労働の評価をなくす包括は容認できない。歯科訪問診療の評価体系が見直された。訪問診療では治療時間以外に多大なマンパワーが必要であり、今後在宅医療に積極的に取り組めるよう抜本的見直しが必要である。また、レセプトの電子請求を行う医療機関に明細書の発行が義務化されたが、現行の複雑で難解な歯科診療報酬体系では患者が医療機関にいわれのない誤解、混乱を招きかねない。これは、患者と医療担当者の信頼関係のもとで成り立つ医療そのものを損なう危険性がある。すべて義務化ではなく、希望する方に即時発行できる状態にもどすべきだ。

 継続して患者、国民によい歯科医療を提供するには、低報酬診療の下での歯科医療関係者の熱意、思いやりだけでは到底無理な事である。歯科診療に誇りを持ち、後進の者が希望を持てる状況にするために国民とともに歯科医療環境の改善をすすめる必要がある。

 

診療報酬改定の問題点が明らかに                    2010年4月号掲載

 診療報酬改定が行われました。
 保団連は、「医療崩壊を食い止めるために10%以上の引き上げ」を主張しました。しかし、厚労省の唱える0.19%アップに、後発品のある先発品の追加引き下げ600億円が入っておらず、実際の改定率は、わずか0.03%(100億円)の増にとどまりました。
 まず、診療所の再診料が2点引き下げられ、病院・診療所とも69点に統一されました。2009年6月の中医協医療経済実態調査では、医科診療所は28%が赤字で、再診料引下げに根拠はありません。また、頻用検査や基本的な処置、診療所に多いアナログ・エックス線撮影料等も引き下げられ、診療所をねらい撃ちにした改定と言えます。
 標榜時間外に患者からの問い合わせに対応する「地域医療貢献加算」が新設されましたが、この制度により、かえって診療所の負担が増えるのではないかと懸念する声もあります。
リハビリテーション分野では、2012年の医療報酬・介護報酬同時改定を見据えた内容が見て取れ、慢性期リハビリを介護保険に移行させる布石の可能性も否定できず、注視しておく必要があります。
有床診療所の一般病床は、8日以上の入院基本料が全て引き上げられ、在宅療養支援診療所の指定を受けている場合の初期加算(7日まで)が新設されました。また、在宅療養支援診療所が急性期病院や在宅からの患者を受け入れた場合に算定する初期加算(14日以内)が新設され、地域の第一線医療の役割を評価したものです。
一般病棟15:1入院基本料が20点引き下げられ、90日を超えて入院する患者の報酬が包括される後期高齢者特定入院基本料が全年齢に拡大されるため、中小病院の経営は困難になります。また、病院の療養病床については、「25:1看護+25:1看護補助」の報酬が大幅に引き下げられるという問題もあります。
この間の保団連や保険医協会の取り組みによって、不十分ながら一定反映されている点は評価しつつも、全体として、医療崩壊に資する内容とはいえない、というのが実感です。再改定を強く求めるものです。

 

2010年診療報酬改定 
診療所再診料引き下げに強く抗議                      2010年3月号掲載

 

 中央社会保険医療協議会(中医協)は、長妻厚生労働大臣から諮問のあった「平成二十二年度診療報酬改定」について答申しました。民主党の鳩山首相は、「コンクリートから人へ」と社会保障の充実を掲げて政権交代を果たしました。
 病院勤務医の過重労働の対策を中心に今回の診療報酬改定でありましたが、診療所の再診料69点の引き下げなど医療現場を無視する内容で、このままでは医療崩壊が加速することが予想されます。 これまで保団連・協会は、「診療所の再診料引き下げ反対」、「外来管理加算五分間ルールなどの無条件撤廃」、「歯科の基礎的技術料の評価と引き上げ」などを求めて中医協委員、国会議員など関係者に強く要請してきました。
 保団連・住江憲勇会長談話では、中医協医療実態調査によると、収支差額赤字の医科診療所は、07年の16.99%から09年には28.65%と急増していることを指摘。再診料の引き下げは、診療所の地域医療を担う力を更に低下させるとして、強く抗議しています。また、今回の再診料引き下げが、財源不足を理由にしていることについて、この間診療報酬本体の引き上げ財源から外されていることが明らかになった「後発品のある先発品の追加引き下げ」で捻出される600億円分は、当然改定財源とすべきもの。これを財源とすれば、病院、診療所とも71点で統一が可能であると説明しています。
 今回の診療報酬改定で保団連・協会の要求が不十分ではあるが反映されたことがあります。前回の改定で大きな批判があった「後期高齢者診療料」と「後期高齢者終末期相談支援料」の廃止、「乳幼児加算」の引き上げ、在宅では往診料の引き上げなどがあります。非常に微々たるものですが医療費総枠引き上げが行われたことは、医療担当者、患者、国民の願いが反映したものと思いますが、改定率(0.03%)では、医療崩壊は一層深刻化するであろう。少なくとも総枠で3%以上の診療報酬の引き上げを強く要望します。同時に、患者・国民が必要な医療を受けられるように患者負担の大幅軽減を求めて保団連・協会は国民と共に改善運動を進める覚悟です。

 

「レセプト・オンライン請求義務化」を撤回     2010年1月号掲載

 保団連・協会運動実る
 昨年十一月二十五日、厚労省は「レセプト・オンライン請求に関する省令改正及び告示について」が出されました。これにより保険請求は原則として電子媒体による方式とオンラインによる方式の選択制になりました。
 平成十八年四月に定められた「レセプト・オンライン義務化」に対して保団連・協会は一貫してレセプト請求の手上げ方式を主張し、保険医療を守り、保険医療を支える医療機関を守るために「一人の廃業者も出さない」ことを目指して「義務化撤回」を進めました。今回の省令改正は、「オンライン請求義務化撤廃」となり画期的なことになりました。神奈川協会、大阪協会が中心にオンライン請求義務化撤回訴訟の取り組みを始め、全国の協会・医会の運動だけでなく、患者団体の理解と協力の反映です。
 しかし、保団連・協会の求める手上げ方式とは、紙レセプト、電子媒体、オンライン請求のいずれでも医療機関の希望により選択できることです。常勤医が六十五歳以上の医療機関は義務化免除されましたが、請求方法を電子媒体かオンライン請求の二者択一としたことは、全面的に認めることはできません。
 レセプト・オンライン請求可能になっても特定検診データとの突合せ、情報漏えいの危険性、患者のプライバシー権の侵害なども未解決で残されます。画期的な成果を勝ち取った運動に確信を持って、今後の医療機関、政府、厚労省そして国民を交えた議論の中で、保険・医療の発展につながる真のIT化を目指す活動が重要になってきます。

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