2020年7月「オールド・ノーマルとニュー・ノーマル」


 

  大雨の被害、新型コロナウイルスの第2波ともいえる感染者数の増加。今年の日本はどうしてしまったのだろう。そんなことを考えさせられる日々を送っている。緊急事態宣言下では患者の受診離れや、物資不足などわれわれ医療機関においてもこれまで経験したことのない事態となった。

 

 また飲食業、観光業を中心に需要は落ち込み経営が続けられない企業、店舗が続出している。私自身が昔から通っていたお店も数件閉店を余儀なくされた。もうあの味が楽しめないのか、あのお店の雰囲気が味わえないのかと思いとても寂しく感じる。毎年楽しみにしていたイベントも軒並み中止。仕方がないことと分かっていても、大きな楽しみが奪われていく悲しみは計り知れない。このようなオールドノーマルにはもう完全には戻れないのだろうか。多くの課題のある現状では全く以前と同じというわけにはいかないだろう。感染対策を重視した新たな常識のもとで、どのように活路を見出していくか。あらゆる可能性を模索しなければいけない。

 

 私たちの周辺で一番大きく変わったのは、いろいろな会合、会議がWebを用いて開催されるようになったことではないだろうか。香川県保険医協会においても一部Web参加という形で三密を避ける体制での理事会を開催し、YouTubeを用いた勉強会なども実験的に行った。また、私が担当している衛生士学校の授業もWeb上で録画したものを配信するという形で行った。最初は目の前に受講する人がいなくてパソコンの画面に向かって語り掛けることに抵抗があったが、徐々に慣れていき今では違和感がなくなった。受講する側もつい聞き逃してしまったところをもう一度再生して見直すことができる、試験前に何度も確認できるなど利点が多いように思う。このようにニューノーマルになりつつあるものがこれからたくさん生まれるのだろう。

 

 でもいつか楽しかったオールドノーマルも味わいたい。新旧の価値観がうまく融合された未来に期待する。

 

                                      高松市 三木 武寛