2020年10月「コロナ禍によって見えてきた景色」


 

今年初めに中国武漢より拡がったCOVID-19の騒ぎは国内において豪華クルーズ船の船内から始まったと記憶しています。それからみるみる間に国内に拡がり有名芸能人がお亡くなりになり、一気に身近に感じるようになった感じです。そして今日現在も相変わらずのコロナ禍です。コロナ禍前と後では、様々なことが変わると言われています。リモートで会議や仕事ができるのが当たり前になるといわれています。大手ゼネコンで働いている友人はコロナ禍の下、出社せず仕事はすべてリモートでしていたので結構自分の時間がとれ、かえってのびのびできた、などと言っていました。

 

しかし、医療機関はとにかく、滅菌、消毒の徹底、PPE(個人防護具)の装備に追われ一日の仕事が終わると気疲れしてしまいます。学校の世界史の授業でジェームス・ワットの蒸気機関の発明が産業革命を起こし、資本家と労働者に階層分離したと習いました。

 

コロナ禍では、人と直接接しなければならない業種と、リモート等で今まで通り事足りる業種に階層分離するのではなどと思ってしまいます。

 

そんな時、開業前の勤務先での出来事を思い出しました。ある初老の男性の歯科治療を院長から任されました。その方は、かなり口腔内の状態は悪く、歯周治療、根管治療(歯の神経の処置)、補綴(歯の被せ物)などの治療を数ヶ月かけて終え、メインテナンスの予約を数ヶ月先にとった次の日、その患者さんがふいに診察室に現れました。私は何かトラブルでも起きたのかとドキッとしました。おもむろにその男性が私に言いました。「先生、診察中、気になっとんじゃが窓の外の庭木の枝が伸びすぎじゃ。雑草もようけ生えとるが。」といって外にでて器用に木の剪定と下草を刈ってくれたのでした。患者さんとこんな関わり合いもできるのかと感慨深く感謝したものです。           

                                                        高松市 小野耕資