2021年9月「私の夏の思い出」


 今年の夏は、昨年来から世界中に蔓延したコロナ禍で不要不急の外出も控えて巣ごもりの状態。オリンピック大会も各スポーツ大会も無観客で行われ、TV観戦で過ごしている。

 

いつも夏は、お盆休みの2日間、夏の高校野球を楽しんでいる。休み前の診療を終えて、午後より神戸行きの高速バスに乗ると気分は甲子園。球場前のホテルに泊まり、翌日の午前8時開始の第一試合に備えて午前5時起きして当日入場券を買うために球場前に並ぶが、すでに前夜から寝袋持参で並んでいる人も多い。入場券を求める人の多さで驚いたのは、第八十八回大会(2007年八月)ハンカチ王子・斎藤祐樹投手の早稲田実業が出場する日は、若い女性が多く、早朝から阪神甲子園駅周辺まで長蛇の列をなしていたが、相手方は遠来のチームで入場券売り場は閑散としていたことである。ちなみに入場券売り場に並んで買い求めたのは、朝食抜きで頑張った私の娘で、大変ありがたかった。 

 

なぜ第一試合にこだわったかというと、観客席から球児のプレイを撮るには、最前列のネット際の席に座ることが必要であるため、開門と同時に場所取りに球場の階段を駆け上った。観客が少ない時に席を確保する必要があり、最近は、指定席前売り券が殆どで、目的の席に着くことが出来なくなり、撮影し辛くなった。

 午前8時、試合開始サイレンと審判の「プレイ・ボール」で開始。野球は、人が社会の中で生きる姿を表す場面が多々ある。守備のチームがピンチになると内野手たちが投手に寄ってきて激励し、ベンチからは、急ぎ伝令役が飛び出して助言している。このピンチを乗り切ろうとする緊張の場面だ。攻撃するチームは、チャンス到来になると全員が大声を出してベンチは賑やかだ。社会生活にも「ここ一番」を乗り切るために慰め、励ましあって解決する方法を探すことを試合の中で教えてくれる。

 

私の高校野球観戦は、明日からの日常診療の中で工夫する力になってくれることを願いながら、帰りの高速バスに揺られて眠ってしまった。

                               

 

 

東かがわ市 三木登志也